ガエル記

散策

『モダンボーイ』チョン・ジウ

f:id:gaerial:20211220052649j:plain

この画像とてもステキだな。向かって右がパク・ヘイル。総督府に勤めるモダン・ボーイのイ・ヘミョン。左はキム・ナムギル演じる日高晋介。検事です。

 

日本植民地時代、京城(現・ソウル)が舞台。となればかつては大日本帝国軍の残虐非道とそれに対する恨と抵抗運動を過激に描き出す、となるはずですが最近の韓国映画はそれさえも一つの世界だと表現している気がします。

 

以下ネタバレしますのでご注意を。

 

 

むろん旧日本軍の残虐非道はあるわけですがその酷さが物語の深みと面白みを引き出す装置として仕掛けているように感じます。

そもそも韓国映画では自国の不正や非道も徹底的に叩き出そうとする気概が芯にあるわけで本作ではそれが旧日本軍だというわけです。

とはいえ本作はむしろラブコメディに区分けされるのではないでしょうか。

旧日本軍の統治下にあった京城府での男女の切ない恋愛をコミカルな味わいで描いた作品なのです。

なのでここに描かれるのはそんな状況下だからこそ存在しうる恋愛にどこか憧れめいた気持ちを感じてしまいます。認めてはいけない美しさなのです。

イ・ヘミョンと日高晋介の友情にも同じく危険なバランスの上にある憧れめいたものを感じます。

なんとなれば晋介役のキム・ナムギルがかっこいいことこの上ない。

彼のかっこよさに映画製作者の感覚が現れています。

 

そしてパク・ヘイルのイ・ヘミョンを滑稽に描いたことにこれまでの意識とは違うけれども深い悲しみも感じさせられます。

 

最期の式典の場面はなぜか『進撃の巨人』を思い出しました。